生活習慣病とは

生活習慣病

皆さんは『生活習慣病』と言う言葉をご存じだと思いますが、具体的に、生活習慣病とはどのような病気なのか説明ができる方は、意外に少ないのではないでしょうか?
今回は、生活習慣病に関して、ご説明します。

生活習慣病とは、「健康的とは言い難い生活習慣」が関係している病気のことです。すなわち、生活習慣次第で発病を防ぐことができる病気とも言えます。厚生労働省の資料では、生活習慣病を「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義しています。

生活習慣病は、以前は「成人病」という名称で呼ばれ、原因は加齢とともに発症・進行するものとされていました。しかし、実際は運動不足や飲酒・喫煙・不規則な生活などの生活習慣が原因となって発症することが分かり、最近では生活習慣病と呼ばれるようになりました。また、これら生活習慣病は生活習慣の改善により予防が可能である反面、成人でなくても発症の可能性があることがわかってきました。

生活習慣病に該当する病気

生活習慣病と言われる病気には以下のようなものがあります。
・食習慣が原因で発症する疾患
   糖尿病、肥満症、高脂血症高血圧、大腸がん等

・運動不足が原因で発症する疾患
   糖尿病、肥満症、高脂血症高血圧
※これらが進行すれば、心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患に発展する危険性があります。

・喫煙が原因で発症する疾患
   肺がん、慢性気管支炎等

・過度な飲酒が原因で発症する疾患
   肝硬変や脂肪肝などの肝疾患等

※個々の病気に関しては、他の記事で解説します…少しずつ公開しますので、お待ちください。

生活習慣病の怖さ

生活習慣病の多くは、発病してもかなり進行するまで自覚症状がほとんど現れ難いと言われています。健康診断などで生活習慣病のリスクを指摘されたり、さらには検査結果が病気の診断基準に達するほどの異常値を示していても、何らかの症状を自覚するのは難しいと言われます。そのことから、生活習慣病は予防や治療というアクションを起こさない人が数多く見受けられ、進行した状態で初めて専門医を受診することが多いとされます。その意味で、生活習慣病は静かに進行する怖い疾患が多いと言われます。

生活習慣病の予防には『一無、二少、三多』が重要!

生活習慣病の予防には『一無、二少、三多』が合言葉になります。では『一無、二少、三多』は何なのか、ご説明します。

お祭こっし~
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一無(いちむ)とは「無煙・禁煙の勧め」です。

たばこの健康被害に関しては、今や、常識となっています。
たばこの煙にはニコチン、タール、一酸化炭素と言った有害物質が含み、これらをたばこの三悪と言います。
ニコチンは、中枢神経興奮・抑制作用や、血管収縮、心拍数増加などを引き起こす作用があり、現在では依存性薬物と認められています。また、糖尿病や脂質異常症などのリスクを高めるとされています。
タールには様々な発がん物質、発がん促進物質、その他の有害物質を含んでいます。
一酸化炭素のヘモグロビン結合力は酸素の 200倍以上あるとされ、たばこの煙に含まれる一酸化炭素が酸素の運搬役であるヘモグロビンを横取りすることで、体内はいわば酸欠状態となってしまい、血液の酸素運搬機能をの妨げになります。このことが、動脈硬化などの引き金になると言われています。
さらに、たばこによる煙は、約4,000種類以上の化学物質が含み、人体に有害なものは250種類を超え、発がん性の疑われるものは70種類を越えるとされています。これらにより喫煙、および受動喫煙が、さまざまな病気の原因になっているとされています。

お祭こっし~
お祭こっし~

二少とは「少食、少酒の勧め」です。

「腹八分目に医者いらず」と言う言葉をご存じでしょうか?
暴飲暴食を控え、腹八分目を心掛けることは、身体の機能を健康な状態に維持していく上で大変重要です。
生活習慣病の予防や治療に、食事療法という言葉がよく用いられることからも、糖尿病、脂質異常症、高血圧、肥満症などの予防・治療の基本は常に食生活にあります。
では、ただ、腹八分目にすれば良いでしょうか?食事には、体に必要なエネルギーの補充といった意味の他に、体をつくることや体の調子を整える意味合いがあります。その意味で、日本人に馴染みがある「一汁三菜」を心掛けることが、生活習慣病の予防に繋がります。「一汁三菜」は日本人の主食である「ご飯」に、「汁物」と3つの「菜(おかず)」を組み合わせた献立です。三菜は、主菜1品、副菜2品で構成します。副菜は主菜で補えない栄養分を補足する役割があります。また、一日のうち2食は、野菜をきちんと摂れる献立が理想的と言われています。「一汁三菜」は体に必要な栄養素を、バランスよく摂ることができ、過剰のカロリー摂取を防ぐことができる理想の食事とされます。

「酒は百薬の長」と言われます。これは、鎌倉時代に吉田兼好により書かれた「徒然草」の一節です。しかし、文脈としては、「百薬の長とはいへど、万(よろづ)の病は酒よりこそおこれ。」となり、現代語に訳すと、「(酒は)百薬の長とはいうが、あらゆる病は酒から起こっている。」と意味合いになります。即ち、「酒は百薬の長」と言っても「適量ならば」という条件を忘れてはならないと言うことです。
実際に適量のアルコールはLDL(悪玉)コレステロールの増加を抑え、HDL(善玉)コレステロールが増加させ、心筋梗塞や狭心症など虚血性心疾患を予防する効果が報告されています。しかし、毎日大量のアルコールを摂取すれば中性脂肪が増加し、HDLコレステロールの低下、LDLコレステロールの増加につながり、さらに高血圧症や糖尿病などの原因になります。
アルコールに関して1日20g(日本酒換算で一合)程度の摂取が望ましいとされています。また、少なくとも3~4日に1日の割で休肝日が必要とされます。休肝日を作ることはアルコール依存症を防ぐことにつながり、健康増進には重要な意味があります。

お祭こっし~
お祭こっし~

三多とは、「多動、多休、多接の勧め」です。

三多とは、体を多く動かし(多動)、しっかり休養をとる(多休)、多くの人、事、物に接する生活(多接)の勧めです。
この三つに関して、ご説明するまでもないと思われます。
多動は身体を十分に動かすことで、健康づくりにかかせません。日常生活の中で活動量を増やしましょう。
次に、多休はシッカリ休養を取る事です。「快眠」で疲労回復し、仕事の合間の「休憩」、月6日以上の仕事をしない「休日」、夏休みや年末などの「休暇」などで、心身ともにリフレッシュすることが大切です。
多活は、多くの人と交流し、さまざまな物、事柄に興味を持って接することで創造的な生活を過ごす事です。趣味や目的をもって創造的な生活をしている人は、何歳になっても生き生きしているものです。

生活習慣病の概要と予防法をご説明しました。
個々の疾患や患者さんの状態にあわせた対応が必要となりますので、健診結果や、生活習慣、日ごろの体調など、何らかの不安がありましたら、専門医へ相談しましょう。

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