糖尿病

生活習慣病

今回は、『糖尿病』に関して、解説します。
糖尿病をひとことで言い表すと、血糖値が高くなる病気です。血糖は通常、食事の前の空腹時で70~110mg/dLぐらいです。食事をし、暫くすると、ブドウ糖が吸収され、血糖値は高くなります。この時の上限は140mg/dLぐらいです。よって、空腹時ないし食後血糖が、これよりも高い状態を「高血糖」と言います。そして、この高血糖が持続している状態を、糖尿病と言います。

血糖のコントロールには、膵臓から分泌されるインスリンと言うホルモンが重要な働きを担ています。食事によって腸から吸収されたブドウ糖は、小腸で吸収され、血液の中に入ります。この血液中のブドウ糖の濃度を血糖と言います。血糖が上昇し始めると同時に膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンは、ブドウ糖と反応し、ブドウ糖が体中の細胞に入るための手助けをする役割があり、インスリンにより、血液中のブドウ糖は速やかに細胞内に入り、エネルギー源として、筋肉を動かしたり、脳を働かせたりするのに利用されます。

糖尿病になると、インスリンが足りなくなったり、効かなくなったりして、血液中のブドウ糖が細胞に入ることができなります。健康な人では、食後の血糖値は一時的に高くなりますが、インスリンの反応でブドウ糖はすぐに細胞に入り、血糖値は短時間で元に戻ります。しかし、糖尿病では、ブドウ糖が細胞に入り難く、血液中にブドウ糖残るため、血糖値が高い状態で維持されてしまいます。
糖尿病の状態で、血糖が高いと言っても、極端に高い状態に陥らないと、直ぐには症状は現れません。しかし、高血糖の状態が続くと、徐々に血管を破壊して動脈硬化を起こす原因となり、脳卒中や虚血性心疾患の原因となります。また、目の網膜や腎臓、神経を傷害し、3大合併症と呼ばれる糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病神経障害を引き起こし、失明や透析のほか、下肢の壊疽(足に血液が行き渡らず、切断する必要が生じる病気)、認知症などの大きな障害につながります。
糖尿病は、初期にはほとんど症状がありません。しかし、症状が出たときには、糖尿病が進行してしまっていることが多い病気と言えます。

糖尿病のタイプ

糖尿病は、原因によって4つのタイプに分類されます。日本人では、2型糖尿病が圧倒的に多く、生活習慣病のひとつに挙げられます。

・1型糖尿病
膵臓でインスリンをつくるランゲルハンス島β細胞が何らかの原因で機能停止となり、インスリンが分泌されなくなることにより発症 します。

・2型糖尿病
インスリンの分泌不足・機能不全といった遺伝的な因子や、過食、運動不足、肥満、ストレスといった生活習慣的な因子よって発症します。

・妊娠糖尿病
妊娠中に発症する糖代謝の異常を称します。

・その他の糖尿病
遺伝子の異常や、他の疾患、血糖値に影響を及ぼす薬の使用などにより発症する状態を指します。

糖尿病の症状

糖尿病は初期症状に乏しく、ほとんどの方では目立った症状が現れることがありません。そのため、気づかない間に、静かに進行してしまいます。よって、口渇(喉が渇く)、多飲(喉が渇くために水分を多く摂る)、多尿(尿の量が増える)、体重減少といった自覚症状が現れたころには、ある程度進行してしまっていることが多いのです。
不安に思うことがあったり、健康診断の結果が気になったら、医師に相談することが大切と言えます。
糖尿病で本当に怖いのは、先に示しました合併症です。血糖コントロールが不十分な状態が長く続くと、重篤な合併症を発症し、治療が困難になります。普段からしっかり血糖値をコントロールして合併症を予防に心掛けることが重要です。

糖尿病の診断基準

糖尿病の診断には、血液検査で次の4つの項目の計測が必要です。

  • ヘモグロビンA1c(HbA1c):
    過去1~2ヵ月間の血糖の状態を示す値(正常値:4%~5.5%)
  • 早朝空腹時血糖値:
    早朝に(8時間以上の絶食後)採血したときの血糖値
  • 随時血糖値:
    食事の時間と関係なく採血したときの血糖値
  • 75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT):
    75gのブドウ糖水などを飲み、その2時間後に採血したときの血糖値

特に、ヘモグロビンA1c(HbA1c)が6.5%以上で、早朝空腹時血糖値が126mg/㎗以上ないし、随時血糖値が200mg/㎗以上の場合、糖尿病と診断されます。このような数値の異常を認めた場合、必ず医療機関に相談してください。
その他の検査値が異常を示した場合も、糖尿病と診断されることもありますので、医療機関を受診することをお勧めします。

糖尿病の治療
お祭こっし~
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糖尿病治療の最大の目的は合併症の予防です。

 

良好な血糖コントロールを達成し、かつ維持することで、動脈硬化の進行を予防し、脳卒中や虚血性心疾患などの合併症を防ぐことが出来ます。また、網膜症、腎症、神経障害などの重篤な合併所に対する対策にもなります。

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糖尿病治療の基本は食事療法と運動療法です。

糖尿病の治療は食事療法、運動療法、薬物療法の3本柱ですが、特に、食事療法と運動療法が基本となります。薬物療法は、食事療法と運動療法では血糖コントロールが不十分な場合に行います。薬物療法を始めた後も食事療法と運動療法は継続していくことが大切です。

お祭こっし~
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糖尿病には、食事療法が大切!

糖尿病ではインスリンが不足し、血液中のブドウ糖は細胞に取り込まれなくなって細胞は栄養不良になります。また、利用されないブドウ糖は血液中に増えて高血糖の状態になり、全身の至るところに合併症が起こってしまいます。
細胞の栄養不足と血液中の高血糖状態のアンバランスを防ぐために、インスリンの分泌量や働きに見合った量の食事を摂るなど、糖尿病治療には食事の管理がとても大切となります。

お祭こっし~
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運動すると血糖は下がります。

運動すると筋肉が活発に活動するためエネルギー源として血液中の余分なブドウ糖が使われて、血糖は下がります。さらに、定期的に運動は、筋肉や脂肪などの細胞がもともと持っているブドウ糖や脂肪をエネルギーに変える能力が上昇し、インスリンの効果を改善するとされています。食事療法と運動療法は組み合わせることによりさらに高い効果が期待できます。
ただし、運動療法は症状や合併症の進行具合によって制限される場合がありますので、医師と相談が必要です。

お祭こっし~
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糖尿病の薬物療法は血糖降下薬とインスリン注射の二本立てです。

糖尿病治療薬は血糖降下薬と呼ばれる内服薬とインスリン注射があります。血糖降下薬は、食事療法と運動療法だけでは血糖コントロールが不十分な2型糖尿病の患者さんに用いられます。インスリン注射は1型糖尿病の患者さんや、血糖降下薬を使用しても血糖コントロールがうまくいかない2型糖尿病の患者さんに用いられます。
治療は個々の患者さんの状態に合わせて安全に、かつ効果的に行えるよう、医師が目標とする血糖コントロール値を設定し、その目標に向けて適切なお薬が処方されます。
医師の指示を守って、的確な治療を行うことが大切です。

血糖の異常を指摘されたら、適切に糖尿病の診断を受け、治療には厳格な食事療法、運動療法、薬物療法が必要となります。主治医の先生と個別に相談し、適切な治療を選択することが大切と言えます。

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