あなたも私も、「がん」にかかる可能性があります。がんは日本人にとって国民病とも言える状況で、日本人の2人に1人は、生涯にがんにかかると言われており、長い人生においては2度以上、がんをわずらう人もいますし、同時に二か所以上にがんをわずらっている人もいます。残念ながら、がんは日本人にとって、非常に身近な疾患であり、誰がいつかかっても、不思議ではないと言えます。
では、がんを早期発見するためには、どうしたら良いのでしょうか?症状がないまま進行するがんを早期に発見するには、健康だと感じていても定期的にがん検診を受けることが大切です。
では、皆さんはがん検診を受けたことがありますでしょうか?
がん検診は、皆さんの体内に隠れている、無症状のがんを見つけ出すことが目的なのですが、本来の目的は、少し違うところにあります。
がん検診は、がんを見つけることも重要ですが、最大 の目的は、検診の対象となる人たち(集団)のがんによる死亡率や羅患率(がんを患う率)を低下させることが目的です。ですから、稀ながんや治療が困難ながんは対象にならず、胃がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん、大腸がんの5つのがんが対象になっています。これら5つのがんは、検診を受けることで早期に発見できる可能性が高く、さらに治療を行うことで死亡率が低下することが科学的に証明されています。
早期で見つけられれば、がんは決して怖い病気ではありません。「要精密検査」と判定されたら早期がんを見つけられるチャンスと考え、積極的に精密検査を受ける様にしましう。
がん検診の実績
がん検診では、何人くらいのがんが見つかるのかな?
素晴らしい質問ですね。少し古いデータだけど下の表を見てください。
がん検診 | 胃がん (40~74歳) |
大腸がん (40~74歳) |
肺がん (40~74歳) |
乳がん (40~74歳) |
子宮頸がん (20~74歳) |
---|---|---|---|---|---|
検査方法 | 胃X線 | 便潜血 | 胸部X線 | 視触診および マンモグラフィ |
細胞診 |
受診者数 | 3,013,168 | 6,847,472 | 5,719,736 | 3,012,808 | 4,230,282 |
発見がん数 (%) |
3,529 (0.12) |
14,968 (0.22) |
2,607 (0.05) |
9,918 (0.33) |
1,628 (0.04) |
要精検者数 (%) |
229,421 (7.6) |
475,386 (6.9) |
94,526 (1.7) |
216,541 (7.2) |
87,516 (2.1) |
精検受診者数(%) | 187,498 (81.7) |
333,172 (70.1) |
78,943 (83.5) |
191,112 (88.3) |
65,109 (74.4) |
毎年、何万人ものがんが見つかっているんだね。
その通りです。早期発見には、有効な方法と言えますね!
でも、受診者数はが、少ない気がするけど、どうなんだろう?
その通り。日本のがん検診は、受診率が低いことが問題と言われています。下の表を参考にしてください。
調査報告 | 胃がん検診
(40~69歳)
|
大腸がん検診
(40~69歳)
|
肺がん検診
(40~69歳)
|
乳がん検診
(40~69歳)
|
子宮頸がん検診
(20~69歳)
|
---|---|---|---|---|---|
地域保健・健康増進事業報告 | 8.6% | 8.8% | 7.7% | 18.2% | 16.4% |
国民生活基礎調査 | 40.9% | 41.4% | 46.2% | 44.9% | 42.3% |
全体の半分以下ですね。何で、がん検診を受けないのかな?
ある調査の結果では、『受ける時間がないから』、『自分の健康に自信を持ているから』と言った理由が上位に示されています。
がん検診の最大のメリットは、早期発見、早期治療による救命の効果です。特に、症状のない人が対象のため、早期がんが多く発見されます。早期がんであれば、治る可能性が高く、治療も短期間で軽くすむことが多いです。また、前がん病変と言うべき病気や、様々な病気を発見することもあり、健康に気を配るきっかけになります。
『受ける時間がないから』と敬遠していたり、『自分の健康に自信を持ているから』と過信していると、進行した状態でがんの診断を受けることに繋がります。症状がない状態でのがん診断は、メリットしかありません。是非とも、がん検診を受診しましょう。
がん検診のデメリット
すべてのがんを対象に検診を行っている訳ではありません。対象外のがんに関しては、がん検診の効力は期待できません。
また、100%がんを発見できる検査はありません。検出の限界よりも小さながんは検査で発見することはできませんし、検査そのものの限界もあります。このため、ある程度の見逃しは、どのような検診であっても起こります。そのため、定期的にがん検診を受けることが重要となります。
がん検診に関して、説明しました。がん検診を受ける場合、多少なりとも心理的な負担があります。不安を解決し、適切にがん検診を受けるために、解らないことや不安な点は、がん検診指定医療機関の医師にご相談ください。
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